2018年度活動の報告

1  オオハンゴンソウ防除作業の報告      
2 小樽支部連携研修会・旭展望台観察会 
 3 きのこ研修
 4 オホーツク支部 秋季研修会報告

特定外来生物「オオハンゴンソウ」防除作業の報告

1 日時 6月28日(木) 午前10:00~12:30

2 場所 野幌森林公園

3 参加団体・人数 
           石狩地域森林ふれあい推進センター3名、北海道博物館1名、自然ふれあい交流館1名

          江別市1名、一般参加者9名、北海道ボランティア・レンジャー協議会15名、総勢30名

4 開会式 
  自然ふれあい交流館の前庭で開会式を開催。北海道ボランティア・レンジャー協議会、石狩地域森林ふれあい推進センター、
 北海道博物館の各代表より挨拶がありました。
  次いで、ボラレン事務局より、防除作業の要領および注意点等を「オオハンゴンソウ」の実物で説明した。

開会式の様子

抜き取り手順などの説明


5 防除作業
  開会行事のあと、防除作業地点へ移動。天候は曇り、気温約24度の中で実施した。

   防除の場所は、2年前と同じで中央線を南下し、瑞穂連絡線分岐点を50メートル過ぎた西側の道有地で、抜き取り班、運び
 班 、根切り班に分かれて作業を実施した。

  抜き取ったオオハンゴンソウの運搬処理は、石狩地域森林ふれあい推進センターの好意で軽トラックで処理地まで運搬した。
 なお、切り取ったオオハンゴンソウの地下茎は江別市の処理場で焼却処分。

   前日までの降雨の影響もあり、作業環境が悪く、高温下で参加者は汗だくになり、全身泥まみれで、休憩を取りながらの
 作業であった。

本年度の防除本数は昨年度より少なかったが、スズメ蜂に刺されるなどの事故もなく、予定通り12時30分に現地で閉会式を行い無 事終了した。

抜き取り作業                軽トラックでの運搬



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研修会

小樽支部連携研修会・旭展望台観察会

開催日時

平成30年6月10日(日) 9:45~12:30

天候

晴れ 17℃

参加者数

16名(小樽支部会員等8名+札幌・江別等会員8名)

観察記録

草本

 

〔開花〕エゾタンポポ、オオアマドコロ、オオバタネツケバナ、オオハナウド、オドリコソウ、オニシモツケ、カラフトダイコンソウ、ギンラン、クゲヌマラン、クルマバツクバネソウ、コンロンソウ、サイハイラン、サルメンエビネ、タニギキョウ、ツクバネソウ、ノビネチドリ、ヒメオドリコソウ、ベニバナイチヤクソウ、ホウチャクソウ、マイズルソウ、マムシグサ、ルイヨウボタン、ヤブニンジン、ユキザサ

〔結実〕エンレイソウ、サンカヨウ、ズダヤクシュ、ヒトリシズカ

〔開葉〕アマニュウ、ウド、ウマノミツバ、エゾニュウ、オオイタドリ、オオウバユリ、オオキヌタソウ、キンミズヒキ、ケイタドリ、サラシナショウマ、セリ、チシマアザミ、ツルニンジン、トチバニンジン、トリアシショウマ、ミズヒキ、ミツバ、ミミコウモリ、ミヤマトウバナ、ヨブスマソウ

木本

〔開花〕ウワミズザクラ、オオツリバナ、オニグルミ、タニウツギ、ツタウルシ、ホウノキ、ミズキ

〔結実〕オオカメノキ、キタコブシ、ハイイヌガヤ、ハルニレ、ヤマグワ

〔開葉・蕾〕イワガラミ、ツノハシバミ、ツルアジサイ、ハリギリ

シダ

イヌガンソク、エゾフユノハナワラビ、オシダ、クサソテツ、ジュウモンジシダ、シラネワラビ、ミヤマベニシダ、リョウメンシダ

鳥

ウグイス、センダイムシクイ、ツツドリ    *鳴き声も含みます。

昆虫等生き物

アオジョウカイ、ニホンザリガニ、ヒメツノカメムシ

感想など

1、小樽市旭展望台の森には、樹木ではタニウツギ、ウワミズザクラ、ツノハシバミがあり特にタニウツギのピンク色の花が目立ちました。アオダモはなくシウリザクラは少ないとのことでした。ツルアジサイに比べてイワガラミが多く、野幌森林公園との違い実感しました。朝里川を境として、樹木の植生が変わるとの話でした。

2、林床には、ズダヤクシュ(かなり多い)、ツクバネソウ、タニギキョウ等が群生していました。エゾタンポポも多数生えているとのこと。サンカヨウの株、エンレイソウではクロミとアオミがあり、オオハナウド、アマニユウ、エゾニュウの3種類も確認しました。

3、小さな沢に、二ホンザリガニがいたのは驚きました。小樽は自然のままの沢が多く、いたるところにニホンザリガニがいるとのことで、小樽の豊かな自然を体感しました。 
        

◎ボラレン小樽支部の北嶋会長さんをはじめ会員の皆さん、野草愛好会の方々や市博物館の山本学芸員さんには、当日多岐に渡って丁寧な解説をして頂き充実した研修会となりました。大変有難うございました。                  













     
お世話頂きました小樽支部のメンバー  北嶋小樽支部会長と参加会員  ヤマグワの葉裏のヒメツノカメムシ と卵
     
側溝に居たニッポンザニガニ  タニウツギの花  エゾタン 



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観察会

(コース)

きのこ研修会

(道民の森月形地区)

 

開催日時

平成30年9月19日(水) 10:00~12:30

 

天候

晴れ

 

参加者数

講師 松原 健一氏    ボラレン参加者;6名  

 

観察記録

 

キノコ

アカハツタケ、アキヤマタケ、アシグロタケ、アミガサタケ、アミタケ、アラゲキクラゲ、ウズハツ、カバイロツルタケ、カラカサタケモドキ、カラハツタケ、クサウラベニタケ、シロハツ、スギヒラタケ、タマゴタケ、ツルタケ、テングタケ、ドクベニタケ、ナラタケ、ニガイグチ、ホコリタケ、ホティナラタケ、マスタケ、マンネンタケ、ヤマドリタケ

 

感想など

 9月5日、巨大な台風21号が日本列島を襲い、9月6日には震度7が記録された胆振東部地震があり、台風、地震による甚大な被害があり、キノコ研修会開催が危ぶまれる中での開催でした。当日は天候に恵まれ無事開催することが出来ました。

講師の松原先生の案内で約2時間位森の中でキノコの見本採取及び説明を聴きながらの観察研修会でした。

まとめとして、講師の松原先生が研修会のために事前に準備してくださった、見本を含めてキノコの食毒などキノコの見分け方を実物と図鑑を用いながらの説明で大変有意義な研修会でした。

 また、恒例の松原先生の用意してくださったナメコ汁で昼食をいただきました。

今回は少人数の研修会で密度の高い研修会でした。講師の松原先生有難うございました。 

             報告 新谷 良一

森の中での説明をメモに取る参加者

アシグロタケ

講師の説明によるキノコの同定(鑑定)




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オホーツク支部 秋季研修会報告

                                   藤田 潔

 平成30年度ボラレン・オホーツク研修会が清里町にて開催されました。今年度は台風、そして胆振東部地震の直後でもあり心配しましたが清里の近辺はさほど影響がなかったようで予定通りの開催となりました。

 参加者:和泉勇、北野徳美、小栗法韶、法師人春輝、千葉亮(以上オホーツク支部)

    春日順雄、富山康夫、成瀬司、木谷文彦、新谷良一、菅美紀子、熊野美子、

    早坂慶子、宮津京子、藤田潔、阿部徹       敬称略 出席者名簿順

      

1日目  9月22日(土)

 集合場所であるきよさと情報交流施設「きよーる」(となりにはお城のような清里焼酎醸造所があります。)へ13:30の集合時間を目指して各人各様の方法でたどり着きました。JR組は列車の中で修学旅行気分だったそうです。その他は自動車で少々長いドライブとなりました。

農学博士 堺 博成 氏

プロフィール

元東京農業大学 教授

元フィリピン大学助教授

趣味 パラグライダー

   気球

 ほどなく清里生涯学習センターへ移動しての研修へ入りました。和泉支部長の挨拶の後、今回の講師である堺博成氏の紹介があり、本題の講演となりました。

 ▶天山山脈には野生リンゴがあり日本のリンゴのルーツとなっている。ところがどのサイトを見てもどこにあるのかわからない。そこで平成23年9月に中国の西端の新疆ウイグル地区のイーニン、カザフスタン、キルギスの調査を行い、イシク湖も訪れた。

 ▶リンゴの名称について。漢字で“林檎”と書くが檎の旁(つくり)は小鳥を意味するもので小鳥が集まる様を表している。中国語では“リンキン”と呼び日本でも東北地方で和リンゴの呼び名として名残がある。朝鮮では“リングム”と呼び日本に伝わりその語韻が“リンゴ”へ変化したものと思われる。中国人が言うところの食用リンゴは苹果(へいか)である。

 ▶北海道に自生するリンゴは、エゾノコリンゴとイヌリンゴの2種のみでズミ、ヒメリンゴの類は移入品である。リンゴ属は大きく分けてリンゴの類とズミの類に分かれる。

 ▶各所の様子。イーニンはリンゴとサンザシの混成林。アルマトイ(リンゴの都の意)はリンゴ混成林。イシク湖はリンゴ・クルミ混成林。野生のリンゴは落ちやすいのでそれを改良したのが栽培リンゴ。おいしいリンゴを増やすには接ぎ木による。サクランボの原種、クルミの原種もあった。イシク湖のあたりでは中まで赤いマルス・ベキアナを見つけることができた。これは今回のぜひ実現したい目的の1つだった。

 ▶世界で一番作られているリンゴは“フジ”であり、何と日本で売られる前に中国では生産されていた。また和リンゴのルーツは明治に入りヨーロッパから入ったもので台木はズミ。リンゴは現在ヨーロッパでは5種、中央アジアでは23種、北アメリカでは6種がある。

 では原産地はどうやって決めるのかというと基本的に原産地では種類が多いということ。ジャガイモの例でいうと丸い、長い、白い、赤いなどなど。これと同じ。またリンゴの原種はミツバシモツケソウ、バラ科のルーツは中国奥地となっている。

Q:ヒメリンゴは公園等によくあるがこれは移入品?またズミのことをコリンゴとも。名称、分類について。

A:リンゴ属は大きく分けてリンゴの仲間とズミの仲間に分かれます。リンゴの仲間はお尻がへこんでいて萼の痕跡があります。ズミの仲間はお尻が出ていてかさぶた状。ヒメリンゴはよそから入ったものです。

(報告者注)図鑑によりイヌリンゴの別名としてヒメリンゴを使っています。とすれば道内にあっても不思議はありません。姫リンゴという言い方もあってこれは栽培種を主として小ぶりのリンゴのこと。これは移入品。

Q:映像ではリンゴ林には下草が多い、少ないがあるようでしたが。

A:リンゴを生業としているところでは基本的に刈っています。家畜の餌として対処しているところもあります。

Q:リンゴの種類について。

A:大陸がつながっていた頃同じベルト地帯に分布し、原種は南の地帯には行っていません。

Q:なり年と不なり年はありますか。

A:隔年結実があるかどうかは不明ですがいい年悪い年はありそうです。

Q:ズミにはコリンゴの別名があるようですが、公園等の種名表示がおかしいものを見かけますが、先ほどのヒメリンゴの件も含めて教えてください。

A:ヒメリンゴとイヌリンゴは違います。交雑種が多く難しいです。明らかにおかしものは

教えてあげたらいかがですか。

(報告者注)(上記注参照)先生も和名、別名、別称については混同してしまうので、正確には学名で話をしますとのこと。栽培品種を含めややこしいのでリンゴの分類にはたずさわりたくないなと笑っておられました。

Q:普通見るリンゴは大きいですが。

A:摘花して大きくしているのが売っているリンゴ。

 

 講演会は以上で終了。その後夕食は恒例の焼き肉パーティーとなり、温泉にもつかって1日目は終了。
 

2日目  9月23日(日)

 都合により予定変更して、先に摩周湖(裏摩周展望台)へ。期待にたがわず“霧の摩周湖”、書きようなし。 

 すぐさま現地研修先である神の子池へ向かい、案内人である枝澤則行氏を待ちました。当会会員千葉氏は枝澤氏に神の子池を教えてもらったとのことで、地元の宝を全国発信されています。ほどなく枝澤氏が到着し「林業行政と神の子池周辺の伐採計画について」というテーマで案内していただきました。以下枝澤氏のお話。

NPO法人北海道市民環境ネットワーク副理事長

ふるさと美幌の自然と語る会
  枝澤 則行 氏

 ▶私は仕事を含めて美幌中心に自然保
護団体を支援するなどの活動を行ってい
ます。(神の子池遊歩道入り口へ移動)。神の子池が知られるようになって、現在では年間10万人の人が訪れるようになりました。ご覧の通り駐車場は朝のうちに満杯になってしまいます。整備中の摩周湖までのトレッキングコースにもつながっています。こうなると保護対策も考えねばなりません。木道を含め遊歩道も整備されました。また最寄りの道道から駐車場迄、大型車の通行が規制されています。現在は入り口にカウンターを設置し入込数を調査して今後の対策の基礎資料となります。

 ▶(サルオガセを横目に見ながら神の子池へ移動)。こちらが神の子池です。美しいブルーの池となっています。中央部は湧水となっていてかなりの水量となっています。また中で泳いでいるのはオショロコマで周辺はアカエゾマツの人工林、ハンノキ、エゾマツ、ダケカンバの混成林となっています。水の中に倒木が見えますが水中なので腐らずに現在の形をとどめています。水源は周辺の雨水の浸透水で池の中で湧き出ています。(摩周湖と繋がっているという話もあるがという問いに)もし繋がっているとすれば現在の水量をはるかに超えるはずですし、この辺りの表土の下は火山礫の層になっていて浸透しやすい状態といえます。現在の技術をもってすれば確認できないこともないですが、繋がっているかどうかはわからないとしましょう。(独特のブルーに見える理由はきれいな水と白い砂のせいでしょうかの問いに)その通り。汚れのない湧水を日光が通り底の白い砂礫に反射して美しく見えます。美しさを保つためバイカモも処理しています。

 ▶(植林地へ移動)いわゆる人工林は50年以上の年月を要して皆伐となります。神の子池付近の土地は最適の環境とは言えず手入れも行き届かずされずに、いわゆるもやし状態です。

植林図を見ていただくとその後沢沿いに上流へ向かって開かれていったのがわかります。ちなみにカはカラマツ、ㇳはトドマツ、アはアカエゾマツのことで伐採までの期間はトドマツ80年、カラマツ50年、アカエゾマツ120年となっています。

 カラマツについては坑木利用の為、昭和27,8年ごろにはよく植林されました。しかし曲がる、硬いなどの理由で昭和40年代の半ばには植えられなくなりました。役立たずになった筈でしたが集成材として復活しました。公共施設などで盛んに使われたのもご存知の通りです。東京オリンピックでも木材がふんだんに使われるようですから需要は出てくると思います。

▶道内では多種類の燃料を使える発電所の建設が進んでいます。石炭のほか木材のチップも使えます。未利用の木材の活用ということのようですが功罪はありそうです。

 

参考:

  環境省釧路自然環境事務所 川湯自然保護官事務所の資料によると

   神の子池の湧水は、摩周湖の水が地下を通ってここに湧き出ています。

   周囲 220m

   水温  8℃

   湧水量 1日 12,000t

   春になるとオショロコマが見られる

    ・イワナの一種で体に朱紅点をもつ

    ・小型で15~20㎝

    ・昆虫や小魚を食べる。

 
 ホテル緑清荘 前庭にて    (写真は春日会長提供)
     
林檎のレクチャーをする堺博成さん 神さまから贈り物「神の池」 「神の池」の絶景 



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